ライブツアー"ROOTS"の癒し効果と効能の考察
海月
インターネットの海 Twitter:@kurage_mysl
要旨
2023年10月8日にパシフィコ横浜国立大ホールにおいて開催された「鈴村健一 LIVE TOUR 2023 "ROOTS"」神奈川公演に参加した。その記録と感想について記すとともに、鈴村健一の魅力を考察する。
Key words
序論
本ライブツアーは2022年2月から4月に開催された「鈴村健一 LIVE TOUR 2022 "ぶらいと"」以来、約1年半ぶりの開催となる。コロナ渦のため長らく自粛されていたコールアンドレスポンス(以降 コーレス)等の声出しも解禁された。(こちらは2019年6月開催の「鈴村健一 満天LIVE 2019 〜ぼくらの前夜祭・ぼくらの後夜祭〜」以来、実に4年4ヵ月ぶりとなる。)
本記事は、ライブのテーマや楽曲、 MC等の内容から、鈴村健一という人物について深く掘り下げるとともに、本公演についての記録を残し、その癒し効果と効能について考察をすることを目的とした。
材料と方法
公演概要
公演名:鈴村健一 LIVE TOUR 2023 "ROOTS" 神奈川公演
会場:パシフィコ横浜国立大ホール (Fig. 1)
公演時間:17時30分〜
Figure 1. パシフィコ横浜
セットリスト
- HERO
- ポジティヴマンタロウ
- NAKED MAN
- シロイカラス
- レールウェイ
- 12月の空
- 東京
- バベル
- そりゃそうです
- 乗り込め町中華
- 明星
- 太陽のうた
- turn on a radio
- Go my rail
- HIDE-AND-SEEK
- あいうえおんがく*1
- SHIPS
- INTENTION
- 声
- ハナサカ
- 葛飾ラプソディー *2
- この世界の好きなところ
8,9…アコースティックアレンジ、13〜17…メドレーアレンジ、20〜22…アンコール
ライブツアー "ROOTS" 横浜 - playlist by Kurage | Spotify
出展ブース
- JVCケンウッド 「推し声オーディオプロジェクト」 "EX-DUB1" 試聴&撮影ブース
購入品
- パンフレット
- ラッシュガード
- マフラータオル
- キングブレード
- アクリルスタンド
- ワッペンキーホルダー
Figure 2. 購入品一覧
結果
1. 開演
会場であるパシフィコ横浜国立大ホールに入場すると、数々のフラワースタンドに出迎えられる。声優仲間である吉野裕行や小野大輔、楽曲の作曲で関わりのある堂島孝平、オーイシマサヨシ、高橋優、今回のライブの生中継を行うテレ朝チャンネル、自身が総合プロデューサーを務めるAD-LIVE、自身がパーソナリティを務める「鈴村健一のラジベース」、また同ラジオ内でコラボしているJVCケンウッドなど、各方面からの祝花が届いていた。(Fig.3)
ホール内に入り着席する。筆者の席は1階の下手側でかなり端の方であったため、機材に隠れて見えない部分があるのではないかと不安であったが、その心配は不要であった。(見切れ席は最初から発売していなかったようで、前方端の席は空席となっていた)
開演が近づくと場内のBGMの音量が上がり、観客が音に合わせてサイリウムを振る。17時30分、開演を迎えた。
Figure 3. 祝花(一部)
2. ヒーロー
赤いライトの輝きとともに流れるのは鈴村健一本人のナレーション。特撮ナレーション風の語り口調でバンドメンバーの紹介をする。バンドメンバーは登場時に思い思いのポーズを決めていた。そして最後に主役である鈴村健一が登場し1曲目へ。
1曲目は「HERO」。最新アルバム"ROOTS"1の1曲目に収録されている楽曲である。
2番では「現在(いま)をありありと〜」の歌詞を「ありありと現在を〜」と歌うハプニングもあった。
2曲目は「ポジティヴマンタロウ」。ミニアルバム"VESSEL"2からの選曲。
白いギターを持ち、イントロを演奏することもある曲だが、今回はギターは登場せず。
3曲目は「NAKED MAN」。ミニアルバム "NAKED MAN"3より。
曲のイントロが流れると、一面青だった客席に赤いサイリウムが増える。
2017年のライブツアー「NAKED MAN」から度々登場するようになったブルースハープも今回登場。
歌い終えるとMCへ。「"HERO"、ポジティヴ"マン"、NAKED "MAN"、の日常に潜むヒーローがテーマのゾーン」と紹介。
さらに、最新アルバムのROOTSについて「自分の原点とは、自分から何が湧き出ているのか、を見つめ直したアルバム」であると語る。
本公演のセットリストについて「自分のルーツから生まれた楽曲たち、一緒に騒げる曲、という2点をテーマにして考えた」と話した。
また、本公演が"ツアーファイナル"であることを繰り返し強調し、10月22日に行われる"初日"だという大阪公演はタイムリープであるという旨を話した。
3.自分の居場所
前述のMC終了後、白いマイクスタンドが現れる。
4曲目は「シロイカラス」。シングル"シロイカラス"4より。TVアニメ「CØDE:BREAKER」のED曲でもある。
客席のサイリウムは白に変わり、ボルテージも上がる。
5曲目は「レールウェイ」。アルバム"Becoming"5より。
この曲がライブで歌われるのは2010年に開催された1stライブ以来、実に13年ぶりである。
6曲目は「12月の空」。こちらも"Becoming"5からの選曲。
7曲目は「東京」。アルバム"ROOTS"1収録曲。
曲が始まる前に上京当時の思い出を語る。
MCでは上京時に見た新幹線の車窓からの景色と当時の不安な思いを語る。
4.食
続くMCでは、鈴村健一のルーツから外せない食にまつわる話。「とにかく食べることが好き。一食でも無駄にしたくない…けど、チャレンジもしたい。だから、不思議な店構えのお店に飛び込んでしまう。長年続けていたら、レーダーが発達したのかアタリを引く確率があがった。」とのこと。
次に歌う曲はそんな食について歌っている曲たち。そして、ここからはトーンを下げてアコースティックアレンジで。
8曲目は「バベル」。シングル"All right"6より。アコースティックアレンジ。
曲中の食要素は"今朝食べたパン"
9曲目は「そりゃそうです」。シングル"ミトコンドリア"7より。アコースティックアレンジ。
こちらはワイン、ビール、肉、魚、フォークとナイフ…など、多数の食要素が盛り込まれた曲である。
また、楽曲「おもちゃ箱」でお馴染みの楽器"カズー"も登場し、間奏ではその音色を披露した。
10曲目は「乗り込め町中華」。アルバム"ROOTS"1より。
ここまでのアコースティックでしっとりした雰囲気から一変し、盛り上がる曲調が流れる。タイトル通り、中華に関するワードがふんだんに使用されている。
自撮り棒に装着したスマホで撮影をしながらの歌唱であった。
曲中盤では、各地の町中華の麻婆茄子を食べるコーナーも。神奈川公演では、横浜市西区の匠 Jangの麻婆茄子であった。山椒系の辛さの後に旨みを感じる一品だそう。
コーレスでは観客も声を揃えて「ハイボール」と叫ぶため、「今日本で一番多くの人がハイボールと言った場所だよ、記念にハイボールの碑とか建てたいね」といった発言もあった。
曲終了後先程の麻婆茄子の味の感想についても軽く触れられた。なかなか辛みが強いようで歌い終わりにしっかりと水を飲んでいた。
5.命のルーツ
MCでは「自分も誰かのルーツになるのではないか。自分が作ったり表現したものが他の誰かに届くことでルーツになれる。」という精神面・思想的な意味でルーツになれる話に加え、「昨年子どもが生まれた」という生物学的な意味でルーツになった話など、誰しもにルーツがあり、またルーツになり得るという話題に触れた。
11曲目は「明星」。こちらもアルバム"ROOTS"1収録曲。リード曲であり、MVも撮影されている。
12曲目は「太陽のうた」。シングル"月と太陽のうた"8収録曲。2016年の満天ライブのパンフレットとして同楽曲をベースとし、人生について描かれた絵本も出版されている。
MCでは、「歌が自分に色々な景色を見せてくれる」という旨の発言をした。
自分の音楽活動のルーツとして、過去のライブの思い出を語った。本公演と同じくパシフィコ横浜で行われた10周年ライブツアー"lo-op"の印象深い出来事として挙げられたのが「舞台上から上に向かって蹴り上げるはずのサッカーボールが、客席前方に勢いよく飛んで行ってしまったこと」であった。
また、自分のルーツの一つとして今まで住んだ街について触れた。
上京し、最初に住んだ街が神奈川県の"読売ランド前駅"であった。寮を出なくてはならず、住む家を探さねばならないが、不動産屋に行きたくない…と先延ばしにし、退寮直前に不動産屋に駆け込み「すぐに住める家はありますか」と聞き、提示された物件を内見もせず即決。入居の際に初めて家に訪れようとするも、渡された手書きの地図では道が詳細に分からず、崖を登りたどり着いた、というエピソードも披露した。エアコンが無いため、夏は死ぬほど暑く、冬は死ぬほど寒いという過酷な物件に、なんと8年も住んだという。
6.盛り上がれる曲メドレー
街の思い出について語った後は、次の楽曲たちに向けてバンドメンバーが観客を煽る。鈴村健一はいつものように「まだまだやれるのかーい!」「もっと盛り上がれるかーい!」のようにコールを行うのに対し、バンドメンバーは「○×※□◇#△〜!」とそれっぽい何かを発する。客席からはどの呼びかけに対しても\イェーイ!/とレスポンスを返すシーンが見られた。
SHIPSのコーレスから始まり、そこからturn on a radioへと繋がる
13曲目は「turn on a radio」。アルバム"ぶらいと"9より。ラジベースのオープニング曲としても馴染みがあるこの曲は、祝歌も出していたオーイシマサヨシ作曲である。
turn on a radioが終わるとあいうえおんがくのイントロが流れる。客席が曲に合わせてコーレスを始めるとGo my railへ。
14曲目は「Go my rail」。アルバム"Going my rail"10より。こちらは鈴村健一初のベストアルバムのリード曲でもある。
同曲が終わると再びあいうえおんがくのイントロが流れる。先ほど同様にコーレスが盛り上がってきた頃にHIDE-AND-SEEKへ。
15曲目は「HIDE-AND-SEEK」。シングル"HIDE-AND-SEEK"11より。TVアニメ「はんだくん」EDテーマソングにも使用された楽曲である。
間奏では舞台セットの裏側に隠れるかくれんぼも披露した。
HIDE-AND-SEEKが終わると三度あいうえおんがくのイントロが流れる。コーレスが終わるといつもとは曲調の違うあいうえおんがくが流れ出す。
16曲目は「あいうえおんがく」シングル"All right"6より。本公演のための特別アレンジ"スーパーハイパーグレートまこっちゃん*3MIX"ver.が披露された。
テクノポップ超にアレンジされており、演奏中バンドメンバーはサングラスを着用するなどしていた。
17曲目は「SHIPS」。アルバム"VESSEL"2収録曲。同アルバムのリード曲である。
本公演では新たな試みとして観客による動画撮影を行った。
コーレスタイムには「男子」「女子」などの定番のものに加え、「俺(鈴村健一自身)だけ」という稀なパターンも見られた。
MCでは約4年ぶりとなる声出し解禁で、観客と声を重ねられたことに対する喜びを語った。
7.大事なルーツ
続くMCでは、メジャーデビュー15周年記念日である10月8日が本公演開催の日であり、この日に歌うべき特別な歌について触れた。
18曲目は「INTENTION」。シングル"INTENTION"12収録曲。本シングルのリード曲であり、初めてMV撮影した楽曲でもある。
「俺の始まりの曲、みんなに任せるから歌ってくれ」との掛け声で観客全員で1番を歌い上げる。
2番からは鈴村健一本人による歌唱。
19曲目は「声」。アルバム"ROOTS"1より。同楽曲は声優仲間でもあり、おれパラで共にホストを務める森久保祥太郎による作曲。
最後のサビの前にはバンドメンバーの演奏が止まり、会場が静寂に包まれる中、鈴村健一が堂々と歌い上げる姿も見られた。
客席に向け感謝の言葉を伝え、舞台上を後にした。
8.アンコール
客席ではアンコールを望むINTENTIONの合唱が始まり、それに応えるよう鈴村健一とバンドメンバーが再登壇。
パシフィコ横浜という大きなホールでも乱れることなく歌い上げるファンの姿を見てバンドメンバーから「調教されている 統率が取れている」との声が上がった。
アンコールのINTENTION合唱はファン考案で始まり、ずっと続いていることから「贈り物だと思っている」と話した。
MCでは「15年間音楽活動をやって良かったと思うこと」について語った。当時思っていたことや、見えていた景色が詞に書き綴られて残っている、という点を挙げた。また、15年前に曲を作った時に、未来永劫歌っていきたいと考えて、時代に流されない言葉選びを意識している、という作詞において心掛けている点についても話した。
20曲目は「ハナサカ」アルバム"CHRONICLE to the future"13より。
過去にはピンクの紙が配布され、客席に花を咲かす企画も行われた曲で、今回もピンクのサイリウムで会場に花を咲かせた。
ライブ恒例のグッズ紹介が行われた。
今回紹介された品は以下の通り。
- ショルダーバッグ
- パンフレット
- フラグメントケース&フォンタブストラップ
- ワッペンキーホルダー
ショルダーバッグの中に3つのグッズが収まった状態で登場。
パンフレットの紹介では撮影秘話を語った。
撮影場所は街のエピソードでも登場した読売ランド前駅周辺。撮影の最中に当時住んでいたころの記憶も蘇り、自然な表情を撮影してもらったとのこと。また、街を歩いていて、現在の賃貸物件の情報を見かけたが、住んでいた当時(20年以上前)よりも価格が安くて驚いたというエピソードも語った。
フラグメントケース&フォンタブストラップは紹介中からライブ終了後まで首にかけたままであった。
ワッペンキーホルダーは触り心地を絶賛していた。
グッズ紹介後にはお知らせをいくつか挟む。
EX-DUB1専用USBのお知らせ時には、会場内のフォトスポットに用意されていた特大USBパネルも登場し、舞台上でポーズを実演。
大阪振替公演については、公演序盤から強調してた"初日"である旨が改めて説明される。10月後半の開催だが、夏のテンションで歌うとの宣言もあった。
グッズ紹介後は会場ごとのカバーソングのコーナー。その土地に住んでいた当時の思い入れのある曲をカバーした。
21曲目は「葛飾ラプソディー」。TVアニメ「こちら葛飾区亀有公園前派出所」OPテーマソング。
歌い終わると、選曲理由でもあるこち亀との思い出話を語る。
この葛飾ラプソディーは、最新アルバムROOTSに収録されている「東京」の作曲者でもある堂島孝平の楽曲であるという縁について触れつつ、本公演の客席にも来ていることを明かす。
MCでは「自分が音楽活動を続ける意味」について語った。
"自分の思ってることをいろんな人に届けたい。普通に言葉にするより音楽の方が心にスッと染み込んでくれる、自分の言葉以上のメッセージを受け取ってもらえる。お便りでもらう「こんなことが大変で…」「つらいことがあって…」というものにひとつひとつは返事できないけれど、音楽で返せたらと思っている。"
22曲目は「この世界の好きなところ」アルバム"Going my rail"10より。
「ひとつ」という歌詞の部分では人差し指を伸ばした手を高く掲げ歌っていた。
最後は、マイクを通さず直接「ありがとうございました」と叫び、公演を締め括った。
考察
1.開演
開演直前になると見られる青いサイリウムの海も、BGMだけではなくこの光景もライブの高揚感を感じる要因であると推測される。座席が後方の場合も、サイリウムを含めた風景でライブの臨場感を感じることができるのではないだろうか。
2.ヒーロー
HEROは、自身が大好きであり、声優を目指す時の自己紹介でもなりたいものとして語っていた特撮ヒーローをテーマに作詞をしたという。(後に仮面ライダー電王で夢を叶える*4。声の出演だけではなく、実写でも出演している。)
また、メジャーデビュー以前にリリースされたミニアルバム box universe14に収録されている「ジュブナイル」もヒーローをテーマに書かれた歌詞の楽曲である。18年という歳月による書く詞の変化と、逆に変わることのない鈴村健一の芯となる部分を感じることができるため、ぜひ一度聴いていただきたい。
改めて鈴村健一と特撮は密接な関係であることを感じさせる楽曲である。ラジオのトークでも特撮の話題が多く用いられる。(筆者は特撮に明るくないため8割くらいは理解できていない。) 好きなことを楽しそうに語る姿をこれからも見守っていきたいと思う。
ポジティヴマンタロウは、リリース当初よりも社会人になり歌詞の内容を身近に感じられるようになったように思う。仕事での小さな成功が物凄く嬉しく感じられる瞬間、自分の能力はこんなもんじゃないと思う時、前向きに装っていてもふとした時に襲いかかる漠然とした不安…誰しも一度は抱く感情を織り込みながらも、超絶ポジティブな人間を描いた詞である。(所謂会社勤めというものをしていない(はずの)人間が、こんなにリアルなサラリーマンの心境をかけるのが本当にすごい)
NAKED MANは、ブルースハープや管楽器が響き渡る昭和テイストな1曲。
過去に開催されたNAKED MANのライブツアーではバンドメンバーに加え金管楽器隊の生演奏もあった。
曲のイントロが流れると、一面青だった客席に赤いサイリウムが増える。
歌詞の中に「赤か?青か?決められない今日のスタイル」とあり、観客はこの2色のサイリウムのどちらを振るか悩まされるのである。(筆者は赤を振りがち、基本色が青なのでたまには変えたいという理由)
社会で無難に生きているが、本当は子供のように自由で天真爛漫に生きたいと感じる心の叫びを歌った曲。
本公演のセットリストについて「自分のルーツから生まれた楽曲たち、一緒に騒げる曲、という2点をテーマにして考えた」と話した。
MCにおける上記発言より、ファンだけではなく、鈴村健一もコーレスを待ちわびていたことが証明された。
また、本公演が"ツアーファイナル"であることを繰り返し強調し、10月22日に行われる"初日"だという大阪公演はタイムリープであるという旨を話した。
本来8月20日の大阪公演が本ライブツアーの初日の予定であった。鈴村健一単独ライブでは初めての野外であり、夏が好きだと明言する同氏にとって、楽しみであったことは容易に想像される。しかし、不測の事態*5により中止になってしまった。
幸運なことに2ヶ月後の10月20日に予定していた会場での振替公演が決定したのである。
10月後半の開催だが、夏のテンションで歌うとの宣言もあった。
アンコールでの上記の発言の通り、遅れてやってきた夏を謳歌するつもりであると推測される。
3.自分の居場所
1stアルバムであるBecomingからの選曲が多く見られた。特筆すべき事項としては、やはり1stライブ以来の歌唱であるレールウェイであるが、セットリスト順に考察していく。
シロイカラスは鈴村健一楽曲の中でも珍しいロックナンバー。EX-DUB1の専用USBで選択できる"SUZU ROCK"はこの楽曲に最適にカスタムされたものである15。
当楽曲は2つ目のアニメタイアップとなる。
社会の中に敷かれたレールに乗って埋もれて目立たず生きていくのではなく、自分の殻を破り恐れずに自分の道を進めというメッセージが込められた詞。
この楽曲にはAnniversary Editionも存在するので、是非そちらも合わせて聴いていただきたい。
ライブではスタンドマイクを用いて歌唱されることが多い。また、サイリウムの色は白が多くなる。
レールウェイは、社会で生きていくということを電車の車内に喩え、日々をこなしていく大変さを皮肉を交えて歌った曲であり、哲学好きとして知られる鈴村健一を感じられる詞である。どこか切ないようなメロディも当時リリースしていた鈴村健一の楽曲の中では珍しいタイプであったと記憶している。この曲を聴くと夕陽に照らされながら走る都会の満員電車の情景が浮かぶ。(誰にも伝わらないと思うが、宮崎あおい主演のミュージカル「星の王子さま」に出てくる鉄道のターミナル駅のシーンも思い出される)
12月の空は、冬の夜空を見上げながら大切な人との別れを思い出す…という感傷的なさまを歌った楽曲。冬の寒さを感じ、少し切なくなり、それでも変わらず星が瞬いてるような真冬の高い空の情景が浮かぶ一曲である。
東京は最新アルバムROOTSの中に収録されている曲である。キラキラとしたおしゃれ感溢れるサウンドで、鈴村健一の楽曲の中では珍しいと感じている。
MCでは、上京した時に最初に住んだ場所は実は東京ではなぬ神奈川だが、歌詞にした時に格好がつかなくて見栄張った、というエピソードも話していた。
過去のライブで"フタリジカン"13を「週末の天気予報 晴れらしい*6」と歌ったり、"sleepy monsters"3の「東京の夜に」の"東京"部分を公演場所の地名に変えて歌ったこともあるため、当楽曲でも神奈川でのライブでは「全て受け入れてくれた 神奈川*7」と「東京(神奈川ver.)」で歌う可能性も否定できない。
(筆者はこの曲を初めて聴いた時に2000年代のEXILEの曲が頭を過ぎった。EXILEのSomedayと類似性が高いように感じている。この点については、他者による追加検証の結果を待ちたい。※パクリとかそういう話ではないです)
4.食
「乗り込め町中華」の歌詞にもあるよう、幼少期の頃は偏食で、満足に給食も食べれなかった過去を持つ。その反動で大人になってからは自他共に認めるグルメになったとのこと。
過去にはダイエットはしたいが好きな食べ物も食べたいと思い、食に関するQOLを下げず*8行うダイエットのため、食と健康について熱心に学んだ時期もあるという。
好きな漫画として挙げている「美味しんぼ」の影響を受け、料理人の道を目指そうとした経験もある。
ラジオ番組では、ライブで訪れる場所の美味しいグルメをリスナーから募集するコーナーを行っている。
上記のように、鈴村健一には食に関するエピソードが多数存在しており、改めて食というものが大事なルーツであることを感じさせれられる。
バベルは、日常の中で起こる些細な出来事と感情を歌ったような歌。哲学ではなく本心が見えるように思わされる曲で、自分の居場所で歌ってた楽曲たちとはまた違うテイストを感じられる。
そりゃそうですは鈴村健一初(?)のラブソングである。直球なものではなく、食を通して見える2人の関係性。性格の違う2人が歩み寄り1つの選択に向かう様子が感じ取れる詞である。筆者は「君の笑い方 僕に似ているな」からの展開が好き。
いつもは「おもちゃ箱」で使用されるカズーが当楽曲で初めて使用された。
乗り込め町中華は純粋に食をテーマの楽曲である。作詞作曲共にヒャダインが担当し、鈴村健一の楽曲の中で唯一自分で作詞をしていない曲である。曲作りの際に、町中華が好きという話や麻婆茄子のエピソードなどをヒャダイン伝えたところ、曲だけでなく歌詞も作成してくれたそう。その歌詞に少し手を加えようと思っていたが、そのままのものが素晴らしかったということで、そのまま詞を貰ったというエピソードをラジオで語っていた。ちなみに、詞の中に多く出てくる"麻婆茄子"は鈴村健一が茄子嫌いを克服するきっかけである。曲中で登場するコーレスワードも中華料理に関係するものが多く独特である点も当楽曲の魅力の一つである。
また、この曲については多くのコーレスが存在するが、8月15日放送の「鈴村健一のラジベース」内で解説が行われた。
曲の最中に行われた麻婆茄子の実食について、バンドメンバーからは「食べたかった」「ずるい」「こういうのって、後で裏に全員分用意されてると思うじゃん?無いんだよ」などの声が上がっていた。大阪公演ではバンドメンバーの分の麻婆茄子が用意されることが期待される。
本公演では歌われなかったが、筆者としては食について描かれている曲の中で「フタリジカン」13を推薦したい。
食の要素として、ミルクティーやパンケーキが登場する。
何気ない日常生活をテーマに書かれたラブソングである。「365日をダイジェストで振り返ったとき 二人が選ぶ名シーンが一緒だといいなぁ」「君と僕の砂時計を 混ぜ合わせて一つにしよう」など、最高のフレーズが並ぶ曲である。
5.命のルーツ
精神面・思想的な意味でルーツになるということ。
筆者自身もメジャーデビュー以前からのファンであり、15年以上の時間、鈴村健一という人物に触れてきた。少なくとも"15年"という筆者の人生の半分以上の時間に影響を与えた人物である。鈴村健一を通し、様々なコンテンツに触れながら人格を形成してきたとも言える。また、鈴村健一という人物によってもたらされた縁も数多く、趣味の面に限らず、ライフイベントにも大きな影響を与えている。以上のことから、MCで語ったように人のルーツになっていると言えよう。
明星は自分の子供の誕生に対して想いを込めて書いた詞の曲である。鈴村健一にとって非常に大きな出来事だったという子の誕生*9。まさに生物学的にルーツになった瞬間である。
筆者も2022年2月に第一子を出産しており、割と近しいタイミングで親になっている。詞の内容が子供を生むということ、この世に生み落とすということ、親の宿命、など同じ子を持つ親として共感し考えさせられるものがある。
また、自分の子どもだとしても一個人として意思や考えを尊重したいという鈴村健一の考えが滲み出る詞であるように思う。
そして、鈴村健一がTwitterで日々呟いていた「謳歌する」という言葉が詞に含まれているおり、子どもへ向ける想いも感じられる。
この曲のMVは自身が幼少期に過ごしたという北九州で撮影されているので、併せて見ていただきたい。
高橋優に楽曲提供を依頼する際に「カッコいい曲にしてほしい」(何も言わなかったら「明日はきっといい日になる」のようなほのぼのソングになりそうだから)と伝えたというエピソードもある。
太陽のうたは人の人生について歌った楽曲。人が生まれ生きていく意味、人生が未来へ続いていく様を描いている。
2016年の満天ライブのパンフレットとして同楽曲をベースとし、人生について描かれた絵本も出版されている。
上記の絵本が非常に素晴らしいので、是非合わせて読んでほしい。
この楽曲はステージ中央の高台に立ち歌う。その様子はさながら鈴村健一自身が太陽。客席のファンを照らしてるようである。
親目線の子供を産み育てる覚悟と喜び、未来への希望を歌った「明星」、生まれてきた側目線の人が生まれ生きていく意味、未来へ続く道のりと人生という物語について歌った「太陽のうた」、2曲を合わせ、命のルーツがテーマのゾーン。鈴村健一の人生観が大いに盛り込まれ、もはや"鈴村健一という人生哲学"を思わせるものであった。
"鈴村健一の人生哲学"というジャンルの中から、「messenger」16という楽曲も薦めておきたい。(今回のセットリストには入っていません)
出会いと別れ、旅立ち、人生という決して平坦ではない道のりを一人で歩む孤独の中で誰かにもらった愛情を道標にして生きていく…という切なさの中に温かみを感じる楽曲である。
6.盛り上がれる曲メドレー
メドレーの最初からSHIPSが流れ、「やっぱりライブの定番曲!」という感情と、事前の公演で撮影された動画が回ってきていたのに「撮影OKの掛け声がないな…」という疑問とが浮かんだ。
turn on a radioはタイトルの通りラジオをテーマにした曲。日頃からラジオ好きを公言し、2007年の第2回声優アワードではパーソナリティ賞も受賞、現在も文化放送でパーソナリティを努める「鈴村健一のラジベース」放送中、などラジオとは縁が深い。この曲は前述のラジオ番組のオープニングに使用されている。作曲は祝花も出していたオーイシマサヨシ。ポップで楽しげな曲調で、ワイパーをしながら歌う姿が非常に楽しげであった。
Go my railは人生における今までの道のりとこれからの行く末を線路に見立てた明るいサウンドの楽曲。過去に縋らずまだ見ぬ未来を目指し挑戦していこうというメッセージの込められた応援歌的楽曲である。
HIDE-AND-SEEKは「はんだくん」のタイアップ曲であり、アニメの主人公をイメージした詞となっている。人見知りだけど、本当はみんなと仲良くしたい、という心境を描いた楽曲である。MVが面白いので、気になる方は是非見ていただきたい。
ライブではCメロのコーレスを歌に乗せず、セリフのように発することが多い。
あいうえおんがくはその名の通り五十音を歌詞に盛り込んでいる。あ〜んまで全てを順番に使った詞で、しっかりと意味のある文章になっているので、是非歌詞を見ていただきたい。"ひ"でしっかりとヒーローを使ってくるあたり鈴村健一だと感じる。ちなみに最後の"ん"では「ん〜いいかんじ!」と曲の感想を述べている。ピンピンバンドのギター担当が"けんじ"のため、「いいけんじ」と歌詞をアレンジするパターンも存在する。イントロのクラップやコーレスから非常に盛り上がるライブの定番曲でもある。
SHIPSは人生の旅路を航海になぞらえた楽曲である。この楽曲が収録されているアルバム名がVESSEL*10であり、それにちなんだ曲となっている。
MVは銭湯を舞台に撮影されており、船のおもちゃが登場する。過去にはMVに登場する銭湯の法被もグッズとして発売され、満天ライブ開催時は会場近くにある天然温泉"ゆらり"とのコラボで鈴之湯が開催されるなど、楽曲のMVから派生したものが数多く存在している。
コーレスも多く、曲中盤のコーレスはファンの年齢や性別、ライブの参加経験などを問うような形が多い。
コーレスタイムには「男子」「女子」などの定番のものに加え、「俺(鈴村健一自身)だけ」という稀なパターンも見られた。
「俺だけ」コーレスの後には「気持ちいい〜!」という感想を述べるシーンもあったが、客席のファンはこれをいつも味わっているのであった。
また、上記コーレスの後の「もっともっとボリュームあげろ!」の部分で力強く音が上がっていくと同時にテンションも上がる瞬間が、筆者は大好きである。
本公演では新たな試みとして観客による動画撮影を行った。
上記のことより、多くの観客がスマホを掲げ撮影する姿が見られた。筆者も例に漏れず撮影していたのだが、「サイリウム振りたい」「コーレスで叫びたい」という気持ちと「綺麗に録画するために大人しくするべき」という気持ちの葛藤があった。この試みにより判明したことはiPhoneの手ぶれ補正能力が非常に高いということである。
7.大事なルーツ
神奈川公演の開催日がちょうど15周年の記念日だったことから、必ず歌うと思っていた曲がINTENTIONである。自身がパーソナリティを務めるラジオでも、「あの曲(INTENTION)は必ず歌います。この日に歌う意味がある形で」という旨の発言もしていた。
INTENTIONは鈴村健一のデビューシングルの表題曲。鈴村健一が社長を務める声優事務所の社名もインテンション(INTENTION)である。INTENTIONという単語は「意図」という意味であり、曲中に「イト」という言葉が度々登場する。また、鈴村健一が好きだという哲学要素を感じられる楽曲である。
当楽曲に何度か登場する「右」と「左」という言葉があるが、近い時期に作詞された曲には「右脳」「左脳」という言葉が多用されているので、同時のホットワードであり、関連性があるのではないかと推測する。また、箱庭という言葉も多用されがちである*11。
今から15年前に撮られたMVは、若く初々しい姿が見られるため必見である。(隠しMVとしてぼんじり先生*12ver.も存在する)
客席ではアンコールを望むINTENTIONの合唱が始まり、
また、アンコールの際に歌われるのも当楽曲である。(5周年ライブから始まったと記憶している)
始まりの歌にして、ファンから最も愛されている楽曲と言っても差し支えないのではないだろうか。
「あの曲(INTENTION)は必ず歌います。この日に歌う意味がある形で」
「俺の始まりの曲、みんなに任せるから歌ってくれ」との掛け声で観客全員で1番を歌い上げる。
"この日に歌う意味"というのは、この楽曲をここまで育て上げたファンと一緒に歌うことだったのだろう。観客が歌った1番についてもマイクに音は乗せていないが歌っている姿が確認できた。
声はその名の通り、声を通して想いを届け、道標となる、そんな未来へと繋がる予感を感じさせる曲である。
同楽曲は声優仲間でもあり、おれパラで共にホストを務める森久保祥太郎による作曲。
同じ声優仲間であり、長年交流のある森久保翔太郎が作曲した歌のタイトルが「声」ということに非常に大きな意味を感じずにはいられない。また詞の中に森久保祥太郎が大切にしている言葉である「心を向けて」が登場する点も趣深い。
最初に曲が上がってきた時は、完成した曲より音が多い*13ものであった。これは鈴村健一をよく知るからこそ、より多くの言葉を詰め込めるよう、音の数を増やして作曲をおこなったそう。しかし、鈴村健一本人が、音数を少なくしてほしいと依頼して、今の形となったそう。
最後のサビの前にはバンドメンバーの演奏が止まり、会場が静寂に包まれる中、鈴村健一が堂々と歌い上げる姿も見られた。
歌詞の通り、声が響き渡り想いが届く様を体現しているようで、心に来るものがあった。
INTENTIONは極彩色のイトに対し、こちらの楽曲は極彩色の花である。*14
8.アンコール
アンコールのINTENTION合唱はファン考案で始まり、ずっと続いていることから「贈り物だと思っている」と話した。
アンコールの歌をこのように捉えていることが判明し、ファンが鈴村健一を大切に思うのと同時に、また鈴村健一もファンを大切に思っているということが示唆された。
15年前に曲を作った時に、未来永劫歌っていきたいと考えて、時代に流されない言葉選びを意識している
書かれた歌詞を見返すと、確かに"古い"と感じる言葉がほとんどないことに気づかされる。
また、「みんなに聞いてもらうことで作品となる」という作品を生み出すスタンスも素晴らしいと感じた。
MC内での「歌う…?喋りで終わることもできるんだけど…歌った方がいいよね…?」の発言より、ベストパーソナリティ賞受賞のトークスキルの高さも窺えた。
ハナサカは、種が成長し花を咲かす様子になぞらえ背中を押してくれる前向きな応援ソング。
コンビニやポストなど、どこにでもありそうな街の風景が歌詞に盛り込まれている点が、身近に感じるポイントになっているように感じる。
また、当楽曲には"ピンピン*15バンドver."というアレンジも存在しており、こちらはアコースティックでテンポも少しスローになっている(シングル"messenger"16に収録)
ライブ恒例のグッズ紹介が行われた。
過去のライブでは、紹介の最後は「売店で売ってます」で締めくくられることが多いのだが、今回は使用されなかった。バンドメンバーの変化の影響だろうか、と筆者は推測する。(以前は宇田隆志のキーボード演奏をBGMに紹介をしていたため)
フラグメントケース&フォンタブストラップの紹介時には、フォンタブ部分の用途が良く分かっていないような反応を見せていたが、スマートフォンのケースがバンパータイプのものを使用しているため、フォンタブになじみがなかった可能性が考えられる。
大阪振替公演については、公演序盤から強調してた"初日"である旨が改めて説明される。10月後半の開催だが、夏のテンションで歌うとの宣言もあった。
上記のお知らせ時に、会場が野外であり、秋の夜の公演であることから、気温が低いことが想定されるため、厚着をしてきてほしい、との旨を小声で伝えるなど、ファンの身体を気遣う様子も見られた。(後日ラジオ内でも同様の発言をしていた)
葛飾ラプソディーの選曲理由は、こち亀が好きだったことと、仕事で訪れたスタジオの別部屋でTVアニメこち亀の声優オーディションが行われていたというつながりがあったと語る。
この葛飾ラプソディーは、最新アルバムROOTSに収録されている「東京」の作曲者でもある堂島孝平の楽曲であるという縁について触れつつ、本公演の客席にも来ていることを明かす。
歌唱前に客席に来ていることを明かすのが一般であるが、「緊張しすぎて事前に言えなかった」と告白した。
当楽曲のカバーで筆者の一押しポイントは、サビ部分の「どこかに」で音が高音へ飛ぶ時に人差し指で上を指しながら歌う場面である。
この世界の好きなところは、うまくいかないことがあっても、身の回りにある好きなものを探しながら少しずつ進んでいこうという前向きなメッセージが込められた楽曲。
ライブの終盤で歌われがちな、いわゆる大団円ソングの1つである。
直前のMCで述べた「辛いとき、大変な時にも、きっとどこかにある好きなものを探すこと。それによって次の一歩が踏み出せるはず。」という言葉が、まさにこの曲の世界観を表している。
「ご飯が美味しいこと」、「家族がいること」、「季節があること」…のように、本当に身近で実感できる小さな喜びや好きになれるものをいくつも提示してくれる詞である。また、日常の些細な事でも幸せに感じようと前向きな部分は、座右の銘が「人生捉え方次第」であるポジティブ人間 鈴村健一を色濃く感じる。
「ひとつ」という歌詞の部分では人差し指を伸ばし手を掲げて歌うのだが、同様に観客も人差し指を掲げる人が多く見られる。
最後は、マイクを通さず直接「ありがとうございました」と叫び、公演を締め括った。
ライブでは恒例の締めの挨拶で、生の声で感謝を届けるのである。声を使い仕事をし、声を大切に思う鈴村健一の心意気を感じるものである。
9.その他ライブ関連事項
- 会場内に出展していたEX-DUB1(以下:ダブワン)の試聴&撮影ブースについて
ダブワンは、専用USBで鈴村健一の楽曲やライブ音源、ラジオ等それぞれの音源に対して最適にカスタマイズすることが可能なオーディオ機器である。試聴ブースではその中の数種類のモードを聴き比べることができた。
ネガティブコントロールが"Flat"であったこともあるが、専用カスタマイズでは音が立体的に聞こえ、歌声が聴き取りやすい印象であった。
専用USBのモードの中の特筆すべき事項として"SUZU MANTEN"が挙げられる。山梨県にある河口湖ステラシアターで聴こえる音に限りなく近づくようカスタマイズされたモードである。一般的なライブハウスやホールとは違い、天井や壁が開閉式となっており、半屋外という特殊な構造上、ホール等に比べ反響する音が少し弱い(と筆者は感じている)のだが、それが見事に再現されていた。
撮影ブースには特大USBパネルが用意されており、鈴村健一と同じポーズでの写真撮影が可能であった(Fig.4)。スタッフによるポーズのレクチャーもあった。
EX-DUB1専用USBのお知らせ時には、会場内のフォトスポットに用意されていた特大USBパネルも登場し、舞台上でポーズを実演。
ポーズの実演時に本人が正しいポーズに悩んでいると客席から正しいポーズのツッコミが入るシーンもあった。
Figure 4.撮影スポットとポーズ
- 喉の調子について
福岡公演で撮影されたライブの様子を見て、件の流行病の影響で喉の調子があまり良好ではないのか、高音を出すのが辛そうに見えたため、神奈川公演の喉の調子を懸念していたが、快方に向かっているようで安堵した。しかし、本公演時点でも、完全回復には至っていない様子が端々に見られた。
ツアー"初日"である大阪公演では本調子になっていることを願う。
論結
15周年記念日当日というめでたい日にライブに参加できたことは光栄である。また、4年ぶりとなる声出し解禁により、観客の盛り上がりを大いに感じられ、非常に楽しい時間を過ごすことができた。
アルバムROOTSになぞらえ、自身のルーツに深く関係する楽曲を中心に歌ったことで、改めて"鈴村健一"という人物の人間性や思想などについて思いを巡らせ、魅力を再認識することができた。
本題である癒し効果については、数値的な結果を示すことができないが、筆者としてはあると考える。しかし、癒し効果以上に実感したのは活力の高まりであった。明日からも頑張ろうと前向きな気持ちになれる素晴らしい公演であったと思う。
今後のライブツアーにおいても、本テーマについて引き続き検証を行いたい。
謝辞
ライブツアー"ROOTS"を開催し、本記事を執筆する機会をくださった、鈴村健一氏に深く感謝いたします。
ライブツアー参加のため、1泊2日のワンオペを快く引き受けてくださった旦那氏、並びに、いい子で留守番をしてくださった息子氏に深く感謝いたします。
ライブの連番をはじめ、打ち上げ、宿泊、アフタヌーンティー、空港までのお見送り等、今回のライブツアー参加にあたり、共に行動してくださったあっぷる氏に心より感謝いたします。
会場での交流、およびライブ後の打ち上げ等、多くの時間を共有してくださった、あかべこ氏、なな氏、紗羅氏、よぷ氏、まりこ氏に感謝申し上げます。
会場で会ってくれたフォロワーの皆様に厚く御礼申し上げます。
参考文献
- ミニアルバム「ROOTS」(Kenich Suzumura et al.) ROOTS - EP by 鈴村健一 | Spotify
- オリジナルアルバム「VESSEL」(Kenich Suzumura et al.) VESSEL - Album by 鈴村健一 | Spotify
- ミニアルバム「NAKED MAN」(Kenich Suzumura et al.) NAKED MAN - Single by 鈴村健一 | Spotify
- シングル「シロイカラス」(Kenich Suzumura et al.) シロイカラス - Single by 鈴村健一 | Spotify
- オリジナルアルバム「Becoming」(Kenich Suzumura et al.) Becoming - Album by 鈴村健一 | Spotify
- シングル「All right」(Kenich Suzumura et al.) All right - Single by 鈴村健一 | Spotify
- シングル「ミトコンドリア」(Kenich Suzumura et al.) ミトコンドリア - Single by 鈴村健一 | Spotify
- シングル「月と太陽のうた」(Kenich Suzumura et al.) 月と太陽のうた - Single by 鈴村健一 | Spotify
- オリジナルアルバム「ぶらいと」(Kenich Suzumura et al.) ぶらいと - Album by 鈴村健一 | Spotify
- ベストアルバム「Going my rail」(Kenich Suzumura et al.) Going my rail - Album by 鈴村健一 | Spotify
- シングル「HIDE-AND-SEEK」(Kenich Suzumura et al.) HIDE-AND-SEEK - Single by 鈴村健一 | Spotify
- シングル「INTENTION」(Kenich Suzumura et al.) INTENTION - Single by 鈴村健一 | Spotify
- オリジナルアルバム「CHRONICLE to the future」(Kenich Suzumura et al.) CHRONICLE to the future - Album by 鈴村健一 | Spotify
- ミニアルバム「box universe」(Kenich Suzumura et al.)
- 推し声オーディオ専用USBメモリー https://www.victor.jp/audio/lineup/usb-va1/
- シングル「messenger」(Kenich Suzumura et al.) messenger - Single by 鈴村健一 | Spotify
- 推し声オーディオ EX-DUB1 https://www.victor.jp/audio/lineup/ex-dub1/
- 鈴村健一(Wikipedia) https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%25E9%2588%25B4%25E6%259D%2591%25E5%2581%25A5%25E4%25B8%2580
- ラジオ内トーク
- 過去のエピソード(出典不明)
他 多数
あとがき
通常のライブレポが1万字超の大作になってしまい「文字数1万字って卒論か???」と呟いたところ、論文形式のライブレポというアイデアをもらったので書いてみました。
ゴリゴリの理系人間で科学論文的なもの(客観的な情報を述べるタイプ)しか書いたことなかったので、ライブの感想という主観について書くのにめちゃ苦労した…そして読んでた論文は大体英語なので日本語の形式の論文の書き方って卒論とか修論しか知らんのよな…そしてだんだん形式崩れてってたりとか色々ツッコミ所はあると思う…雰囲気だけでも感じ取ってください…
この論文形式ライブレポで何がやりたかったって「謝辞」だよね!!!!鈴村健一に最大級の感謝の意を述べたいだけだった。あと「Kenichi Suzumura et al.」って書きたかった。そのために2万字超の文章書いたよね( ˘ω˘ )日本語形式だったらet al.じゃなくない?というツッコミは無しの方向で…あとROOTS以外単著では???というのも目を瞑ってください…作曲者が共著者なんです…たぶん…
論文っぽく結果と考察を分けて書いたら考察がゲロ長くなってしまった…私の各楽曲への謎解釈とクソデカ感情を書き殴ってしまったので、もはや考察はライブレポではない(((^ω^)))
書いてて100億回くらい「お前何目線だよ」ってセルフツッコミ入れた気がする。今でもそう思っている…論文テイストにするとこうなってしまうのです…。あと語彙力の無さ…。すべてに目を瞑って広い心で読んでくれる優しい人向けの文章となっております…。
楽曲について、解釈違いだと思っても優しい心で読んでください…解釈は人それぞれ…みんな違ってみんないい…あと曲の考察書くのに息切れしてどんどん短くなっていった…ごめん許して…あとそれっぽく曲の解釈語るのむずすぎん???
ちなみにこの論文形式ライブレポ書くためにブログ開設しました。
普通のライブレポが読みたい方はこちら↓
お好みに合わせてどうぞ。
ちなみにライブ本編とは関係ない開演前エピソードとか打ち上げとかアフタヌーンティーとかの話は普通のレポの方にしか書いてないです…( ˘ω˘ )
タイトルを見て、何か気づいた方もいるかもしれません…そうです…チェリーベルのラジオCD マーケティングシリーズ のオマージュです。
タイトル全然思いつかなくて、どうしようかな…って色々考えて行き着いた先がここでした。なんかそれっぽくない???タイトルと結論が一致してるかは別として。本家だって一致してn
2種類のライブレポ書くのは割と楽しかったんだけど、如何せん時間がかかる…時間が無限に湧くなら次回もやりたい。
Twitter始めて、長文のブログを書くことがなくなっちゃったから、こんだけの文章書いたのほんっっっとうに久しぶりだった…10年ぶり…?あの頃は毎日ブログ記事書いてたからな…
ニッチな需要しか見込めない異色ライブレポですが、少しでも楽しんでもらえれば幸いです。